「がんばれなかった自分」
否定的な出産体験は、3人目の子供さんを妊娠されたとき、Aさんを悩ませました。
思いをリセットする意味もあったのか、初めての病院である、当院の見学に来られたようでした。
Aさんの話を
「そうだったんですね」「辛かったですね」
と、聞いていました。そして、私は、
「分娩の進行が止まったのも、赤ちゃんの心音が元気がなくなったのも赤ちゃんのメッセージだったと思います」
こう伝えました。
Aさんは、
「メッセージ?」
「はい。もうこれ以上はしんどいよー、というメッセージです。Aさん、よくキャッチしてあげましたね」
「そうなんでしょうか?」
「はい。きっとそうです。子供さんが大きくなられたらそう言ってあげて下さい。あなたが、メッセージを
くれてお母さんはがんばってあなたを産んだよ、と」
「そう考えると納得できそうです。赤ちゃんのメッセージだったんですね…そうですね
私が、その子を産んだ時の事を否定的に思うのは良くないですよね…」
「そうです。がんばって大切なあなたを産んだと伝えてあげて下さい。愛されることは、生きる力になりますから」
「わかりました。少しすっきりしました」
笑顔で帰られました。
苦しい思いも語ることにより思いを整理でき、否定的な感情から肯定的な感情に変化することが可能です。
しばらくしてAさんとお会いしました。
「前向きに出産もとらえることができるようになりました。結局私、一人目の時みたいにがんばったね!
と言ってほしかったんです。それがわかりました。自信をもって子供にも出産の時の事を伝えます。」
生き生きと話されました。
出産も育児も形ではありません。
自然分娩でないと母乳でないと…自信を失うお母さんもおられます。
その子への深い愛と思い
それが最も大切なのです。
もし、自信をなくしている方がおられたら胸を張ってください。その子を思い出産したことを。
Aさんありがとうございました。
とても貴重なお話しでした。
三人目のお子様も素敵な出産でありますようにお祈りしています。
話せなかった思い 終わりです。
永井